グッドパッチのナレッジ
- 更新日
- 2025.12.21
- 読了時間の目安
- 約 11 分
このページでは、グッドパッチのナレッジに対する考え方をご説明しています。チームで成果を出すことを前提に考えているグッドパッチにとって、仕事のクオリティに再現性をもたらすナレッジの運用は不可欠です。まだまだ手探りなところもありますが、グッドパッチのナレッジマネジメントの現状を、このページでご確認ください。
グッドパッチにおけるナレッジとは?
デザイン業界は職人的なところがあり、「先輩を見て学べ」という徒弟制度的な考えも根強く残っています。背中を見て学ぶ姿勢の大切さは理解しつつも、本人の自助努力に委ねるやり方では人の育成は難しいと私たちは考え、かなり早い段階から「ナレッジ化」に力を入れてきました。
ナレッジ化において、私たちが最も重視しているのが「再現性」です。誰もがその情報にアクセスでき、成功した状況を再現でき、問題を解決できること。再現性こそが、会社にとっては組織全体の力となり、社員にとっては、成長するための大事なきっかけになります。
こうしたナレッジ重視の方針は、社員一人ひとりの行動にも反映されています。日常業務の中で困ったことがあれば、多くの人が優しくていねいに相談に乗り、必要なナレッジを教えてくれるでしょう。
単に仕組みを導入するだけでなく、組織づくり、カルチャーづくりの観点からも、仕事と成長に再現性をもたらすナレッジに力を入れています。
1.全社共通のナレッジ
グッドパッチでは、自律的なチームのためのナレッジ共有ツール『esa』を、2018年から導入しています。現在、4万件以上の記事が蓄積されており、毎日2〜10件のペースで全社員が自由に投稿しています。

esaの投稿には、ルールがありません。具体的な業務ノウハウから抽象的な知見まで、粒度を問わず、気軽に投稿されています。また、代表の土屋から、最近入社したばかりの社員まで、誰もがフラットに投稿できる場になっています。
esaではさまざまなテーマが扱われているため、各記事をディレクトリに分類し、時系列や執筆者単位でも閲覧可能になっています。フローとストックの両面を持っており、制約なく柔軟に発信できることから、「ナレッジが誕生する装置」として機能しています。
esaに投稿されているナレッジは本来は社内限定ですが、グッドパッチに関心をお持ちの皆様のために、反応が多かった投稿をご紹介します。


esaは最初からスムーズに運用されたわけではなく、導入当初は工数をかけてナレッジをまとめる意義に対する理解が得られず、投稿が進みませんでした。そこで、まずは選任メンバーが社員にヒアリングしてまとめる「補助輪期間」を設けたり、プロジェクトレビューなど、簡単なフォーマットから始められるようにしていきました。
こうした活動を通じて、毎日誰かがesaにナレッジを投稿していく現在のカルチャーを作り上げていきました。今では、半期ごとの社員総会での表彰エントリーもesaで行われるなど、組織に深く浸透した、グッドパッチの経営には欠かせないナレッジツールとなっています。
2.部門別のナレッジ
グッドパッチでは、全社的に運用しているesaとは別に、より具体的で業務に直結するナレッジを部門ごとに管理しています。現在はNotionやStrapなどのツールを使用し、更新頻度や運用方針は各部門の判断に委ねられています。
部門内のナレッジに関しては、ボトムアップで自然発生したものや、部門責任者からのオーダーで構築されたものなど、運用形態は多様です。クライアントワークを担当する部門では独自のNotionページを運営し、案件情報や各案件の中で得たより実践的で具体的なナレッジを蓄積しています。また、セールス向けに、別途専用のナレッジポータルが用意されています。
例えば、UXデザインチームでは、以下のようなグッドパッチ標準のデザインプロセスおよび各フレームワークの品質基準を、Notion上でドキュメント化しています。

- 標準デザインプロセス:プロジェクトの各フェーズで何をすべきか
- 各フレームワークの目的:なぜそのアウトプットが必要なのか
- 品質基準(Do/Don’ts):良いアウトプットと悪いアウトプットの定義
- アウトプットテンプレート:すぐに使える雛形
- 案件での活用事例:実際のプロジェクトでどう使われたか
また、この活用を促進するために、NotionMCPとCursorを使いAI化した仕組みの運用も始まっています。
同じくUX関連のナレッジとして「UXスターターキット」があります。これは新人のオンボーディングを兼ねた、フレームワーク化されたナレッジ集で、「有益だった」との声も多く上がっています。
3.勉強会
グッドパッチの社内勉強会は、現在、部門や職種ごとに実施されることが多いです。かつて経営層も参加していたプロジェクトレビューのような全社的な場は現在は少なく、ボトムアップで自然発生的に生まれています。
近年の代表的な取り組みとしては、「Patch Cafe」があります。これは、サービスやプロダクトのデザインのプロジェクトに関わっている社員が具体的な案件の裏側を語る、ポッドキャスト的なカジュアルな情報共有会です。
カフェをメタファーに、「〇〇店長と話す」といったコンセプトで運営されており、ナレッジの共有だけでなく、お悩み相談的な性質も持ち合わせています。

また、デザイナーが毎月の学びを共有する「はとゆさ大発表会」も定期開催されています。
ほかにも、アクセシビリティなど特定テーマでのスポット勉強会や、Appleが毎年開催する世界最大規模の開発者向けカンファレンス「WWDC」のタイミングに合わせた考察会など、興味のある社員を招いての自主的な学びの場が、自然と生まれる環境になっています。
4.Slack
グッドパッチでは、日常的なコミュニケーションツールとして「Slack」を導入しており、ここでも日常的に情報交換が行われています。Slackは、体系的なナレッジというよりは、フロー型のナレッジ交換の場として機能しています。
Slack上には大小さまざまなチャンネルがありますが、特徴的なチャンネルとして「times」チャンネルがあります。これは個人が自由に作成できるチャンネルで、例えば「#times_ceo」では、代表である土屋が思い思いにつぶやきを投稿。経営者が日常的に何を考えているかを知る、貴重なチャンネルとなっています。

また、社内勉強会で紹介した「Patch Cafe」はSlack内の音声チャット機能であるハドルで開催され、そのスレッドにコメントが蓄積されていくようになっています。過去のアーカイブをさかのぼって読むだけでも、さまざまな知識に触れられる仕組みとなっています。
さらに、「提案チャンネル」では案件化前の営業段階の情報から共有され、提案に使ったプレゼンテーションの内容まで、オープンにされています。積極的にナレッジを集めようとする姿勢さえあれば、Slack上からもいくらでも学べる環境になっています。
社員から見たナレッジ
2024年中途入社 インサイドセールス
仲野 俊也
esaを見たりPatch Cafeなどで話を聞くことで体系立てられたデザイナーの知識と事例を基に自分の血肉になると思っています。もちろん営業トークにも生かせますし、自分が今後個人でサービスや事業を作りたいと考えているので、その時にも生かせるフレームと実践知であり、宝だと思って見ています。
2020年中途入社 エンジニア
池澤 孝治
広く素早く気軽に発信する文化は、Gpの風通しの良さや小さなことでも視点を凝らして気付きを得ようとするマインドの育成にもなっていると思います。
2024年中途入社 新卒採用担当
小川 麻菜
4万件を超えるナレッジが蓄積されたesaがあり、新しいトレンドを自分たちでキャッチアップして共有し合う会も自主的に開かれているため、学ぼうと思えば学べる機会がとても多い。知りたいことがあったときも、たいていesaに過去の誰かがまとめてくれた情報があり、読み物として参考になる知見が多く見つかります。また、他部署の仕事の様子も把握でき、自分で動けば部署にとどまらず、さまざまな情報を得られるこの環境はかなり珍しいと感じています。
2020年新卒入社 サービスデザイナー
鵜飼 のどか
常に誰かが学びやナレッジを発信してくれており、それを見るだけでも「私も頑張らないと!」と思います。こうした発信や過去蓄積されているナレッジがグッドパッチらしさであり、良い文化だと思うので、ナレッジ環境には満足しています!一方で、入社したばかりの方からは「どこにどのようなナレッジがあるか分散していて分かりにくい」といった声もあったりするので、まだまだ環境自体をより良くできる余地はあるなと思います!
2025年中途入社 UI/UXデザイナー
水口 弘次
社内には本当にたくさんのナレッジがあります。また困りごとに対する知見を持ってる方が社内に必ずいる安心感も強く、高いレベルの方達の集まりだからこそだなと感じます。その反面、ナレッジは「数が多い」という印象なので、必要な情報を探すのは正直なところ大変だな、と感じることも。今後、AI活用なども含めて本当に欲しい情報がすぐに見つかるように改善していけるとよいなと思います。
2025年中途入社 サービスデザイナー
須藤 光
いい取り組みや失敗したことを共有し、それを皆で生かそうという雰囲気があります。実際に社員のSlackやesaへの投稿から得られる学びも多いです。
グッドパッチは本当にナレッジ豊富なのか?
グッドパッチでは、社員の意見がオープンに流通していますが、その中には「思ったほどナレッジが溜まっていなかった」という声を見聞きすることもあります。
この話には、2つの側面があると考えています。
一つは、その言葉通り、ナレッジ化が不十分であるということです。ナレッジに力を入れているのは間違いありませんが、現時点で十分とはまったく考えていません。プロジェクトによっては、前例がない未知の領域に触れることも多く、そんなときに応用できるナレッジが十分にあるとはいえません。「ナレッジ化はまだ道半ばである」は会社も感じているところであり、ここは引き続き力を入れて取り組んでいきたいと思います。
もう一つは、「ナレッジ」に対するイメージの違いです。ナレッジというと、その通りに作ればある一定以上の品質を担保できるすぐ使えるフレームワークや便利なメソッドをイメージされるかもしれません。しかし、短期的な効率だけを重視した安易なフレームワークやメソッドは、必ずしも良い結果を生みません。
私たちの仕事は、どんなプロジェクトでも、不確実性や曖昧さを含んでいます。それに対応するには、ゼロベースから発想する力、知識や情報がなくても仮説ベースで組み立てる力が必要です。しかし、即物的なフレームワークやメソッドのようなものを提供しすぎると、発想力を磨く前に、「正解がないと考えられない」という傾向が強くなる懸念があります。
また、「そんな便利なものは作れない」という別の課題もあります。ビジネスにおいては、大切なことほど抽象的で、大事なことほどフォーマット化できません。
グッドパッチが蓄積したいナレッジとは、あくまでヒントであり、示唆であり、普遍的で、応用しやすいものです。ある一定の再現性は担保しているが、自らが再設計・再構築・再解釈する余白も残されている情報です。
「情報がないなら仮説ベースで自ら考える」という、これまでのグッドパッチが大事にしてきた力を守れる本質的なナレッジ化を、これからも進めていきたいです。